2024年 11月 25日
アクリルって吸水するの? |
こんばんは。
営業日毎更新再開と言った矢先なのにこんな時間帯の更新
早速ネタに困ってしまったので、困りごとついでに最近の課題を一つ書いてみます。
それは、アクリル板の吸水性について。
皆さん一般的にアクリル板って水槽にも使われているので水辺使用は問題ないって思われがちですよね。
勿論、水槽などは問題ないんですが実はアクリル板って吸水・吸湿性があるんです。
勿論、水槽などは問題ないんですが実はアクリル板って吸水・吸湿性があるんです。
たとえば湿気の強い梅雨時なんかは空気中の水分を吸ってしまい反りの原因になったりします。
他、透明板は吸湿する事により白っぽく濁る事もあります。
その為か、アクリル樹脂板はメーカーから出荷される時は防湿紙で完全密封された状態で届きます。
紙の内側は樹脂コートされたり蒸着されたりと、しっかり湿気を通さない仕様になっているんです。
その為か、アクリル樹脂板はメーカーから出荷される時は防湿紙で完全密封された状態で届きます。
紙の内側は樹脂コートされたり蒸着されたりと、しっかり湿気を通さない仕様になっているんです。
さて、今回のお困りごとは貼りもん屋でミラーフィルムを貼ったアクリル板のその後について。
樹脂板の中でも鏡面性が一番良好なので、大型の姿見やレーザー加工に多用しております。
しかし、時折この吸湿性が悪さをしてトラブルになります。
分かりやすくまずは写真をご覧ください。
もう何年も経過しているというのもありますが、レーザーでカットしたアクリルはちょくちょくカット小口のアルミ蒸着膜が部分欠損を起こします。
これ、もっと近くで見るとアルミのミラー部分が飛んでます。
化学的にいうと基材のアクリル層から吸湿・吸水された水分とアルミ蒸着膜が反応し、酸化して飛んでしまうのです。
よく古いガラス鏡が錆びたように黒く汚れる様、湿気てしまうなんて耳にした事ありませんか?
これと全く同じ事が起きてるんです。
そもそもガラス自体は吸湿はしませんが、端部は水が浸入し易いんですね。
また、ガラス鏡の場合は裏面の保護塗料も経時劣化で水分が侵入したりすると湿気ってしまいます。
ただ、ガラス鏡・特に銀引き方式の鏡の場合は銀膜の上に一層銅引きの膜が存在します。
黒くなっているのは、銀膜が酸化で消失しこの銅膜が現れたからです。
ネットの拾いものですが、ガラス鏡の事例がよくわかる図を貼っておきます。
もちろん表面はPETフィルムとハードコート層があります。
ガラス鏡の場合、ガラスと膜の隙間から水分が侵入するイメージです。
ただ、アクリル板は前述した通りアクリル板そのものが吸湿・吸水してしまうんです。
その為、弊社では浴室等水辺ではアクリルではなくほとんど吸湿・吸水しないHIPS(ハインパクトポリスチレン樹脂)素材を使うようにしてます。
もっとわかりやすく実際に問題になった事例の写真をご覧ください。
もともと別注で室内用の樹脂ミラーを何度もご依頼頂いていたお客様案件です。
この分も特に用途的には何も伺わず、先方の指定通りミラーを製造して納めました。
しかしながら、数か月後にこの写真とともに当時納めた400Φのミラー全品がこのようにミラーの淵部分全周アルミ蒸着膜が消失しておりました。
これはさすがに異常するぎるので、用途を伺ったところ銭湯のような浴室施設向けだったという事でした。
これはさすがに完全NG事例です。
浴室や水辺と事前に聞いていれば絶対アクリルは使ってません。
その証拠ではありませんが、改善としてHIPS樹脂に切り替えて納品したものは今のところ問題なく、その後リピート発注も頂いております。
ミラー映りの良さを優先するとアクリルを使いたくなるところですが、樹脂事の特質をよく把握しておかないと痛い目を見るという教訓的な事例です。
さて、ここで冒頭の課題について。
まず、レーザー加工品はそもそも水辺利用でなくても部分的に蒸着が飛びます。
これは空気中の水分だけではなく、レーザーカットそのものも何か一因があると踏んでます。
「踏んでいる」と表現したのは理由があって、この症状を蒸着コンバーターとレーザー機器メーカーの両社に相談してもはっきりとした原因が今のところ分かっていないからです。
レーザーはCo2なので、カットの際に水分も生じているかもしれません。
また、アクリル板自体もともと残留水分がある可能性もあります。
ミラーフィルム側は一応抗酸化コートも施してます。
従いまして、HIPSやPETに加工してトムソンで抜いた場合は全然問題になりません。
つまり、アクリルとレーザーの組み合わせでよく起きる症状です。
実は現在、新規案件で「アクリル∔レーザーorPET+トムソン」という選択を迫られております。
そこで、試作検証の機会があるのでがガラス鏡によくある防湿コートを樹脂でも試してみようって事になってます。
要は、むき出しになったアクリルの端部になにか防湿性のある塗料を塗ってみるって事。
これはひと手間かかりはしますが、試してみる価値はあります。
レーザーカットした小物については、カット後に乾燥庫で残留水分を飛ばす事を試してみようと思います。
どちらにせよ一度検証してみて、また結果が分かればここで書くかもしれないし書かないかもしれません(苦笑)
by numax0915
| 2024-11-25 19:36
| お仕事(会社)
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